唐から伝わったカギはその後日本国内でどのような発展を遂げていったのでしょうか。
実はそれから後、歴史上の記録にカギが登場することはあまりありません。近世になってきてようやくカギが使われていたという記録が見つかります。
今の私達からしてみると生活する上でカギはなくてはならないものです。近世くらいになるとさすがにカギは浸透していたのではないか、という予想もつきます。しかし、江戸時代になっても、カギは一般庶民の間に浸透することはなかなかなかったそうです。 江戸時代というのは鎖国していた時代です。海外との交易もなければ戦争もなかった時代です。そして国内でも戦が起こることはありませんでした。
治安がよく、穏やかな時代がしばらく続いていたのです。現代社会よりも治安は良かったと言われています。ですから、庶民がカギを使う必要はなかったのです。武家のお屋敷などで用心をする場合でも、心張り棒で戸締まりをするくらいで十分だったそうです。
お屋敷に住んでいないような庶民たちにはカギは心張り棒すら必要ありませんでした。庶民は長屋などに住んでいて、近隣住民と交流しながら生活していました。もし、そんな中に不審者が現れていたらすぐに目立ってしまってお縄に掛けられてしまうのだそうです。
このようにカギをかけるという習慣がありませんでした。そして日本ではカギをかけないという習慣がつい最近まで残っていました。わたしたちの両親やおじいちゃんおばあちゃんの時代まではカギをかけなくても平気だったのです。
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